親と教師のそういち就活研究所

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事務職の就職先としての公益法人(とくに業界団体)

一般企業以外の(公務員を除く)事務職

事務職を志望する新卒の就活生の方は多いです。この記事では、事務職志望者の一般企業以外の就職先として「公益法人」を取り上げます。

なお、ここで「公益法人」とは法律でいう厳格なものではなく、「公益的な活動をする民間組織」全般を大まかにさしています。

一般企業の事務職については、以下の関連記事で述べています。

一般企業以外の事務職の仕事としては、つぎの選択肢が考えられます。ただし公務員については除きます(別の記事で述べます)。

○公益法人(とくに業界団体)
○以下の一般企業以外の法人
・病院やクリニック(健診機関含む)の事務職
・健康保険組合の職員
・学校(高校・専門学校・大学等)の職員
・士業(法律・会計・特許などの事務所)の事務職

上記のうち、この記事では業界団体を中心とする「公益法人」について述べます。

「業界団体」という視点

事務職志望の方は、一般企業のほかに「公益法人」という選択肢も、意識されるといいでしょう。

公益法人というと、たとえば誰もが知る「日本赤十字社」といった組織があります。有名なコンサートホールやミュージアムを運営する組織にも公益法人があります。障害のある人たちのための団体や、動物愛護の団体もあります。

こういう「公益」性がわかりやすい組織もありますが、そのほかに、とくに強調したいのは「業界団体」というカテゴリーです。

たとえば「日本医師会」や「日本弁護士連合会(日弁連)」は、とくに有名な業界団体です。自動車メーカーなどが加入する「日本自動車工業会」は、産業界の有名な団体です。

業界団体とは、その業界・職業の利益をはかることをおもな目的とする組織です。その運営は、団体に加入する企業・事業者からの会費でおもに支えられています。多くは会社と同じく「法人」です。そして、その一部は新卒採用も行っているのです。

世の中には、さまざまなかたちの「公益」「業界」が存在します。そしてそれらの公益や業界に対応する大小さまざまな公益法人が存在するのです。

たとえば医療関係

たとえば医療関係なら、その代表的なものに、クリニックなどの開業医の業界団体である「医師会」があります(このほか政治的立場などが異なる「保険医協会」という組織もある)。

そしてそれは全国レベルの組織だけでなく、都道府県レベルや(地域によっては)市や区のレベルの組織もある。

たとえば全国レベルの「日本医師会」のほかに「〇〇県医師会」「〇〇市医師会」といった組織があって、事務局スタッフの新卒求人を出していることがあります(ただし、規模の小さな業界では全国組織だけのことが多い)。

そして、医療関係の業界団体は医師会だけではありません。

たとえば民間の病院の業界団体として、全国レベルでは「全日本病院協会」があります。看護師の団体もありますし、レントゲン技師などの医療技術者の団体も、リハビリ関係の団体もある。

ほかにもさまざまな団体が

このほか、製造業やサービス業など、各分野で業界団体があります。

食品であれば、たとえば食肉、乳業、パン、穀物のような大きなジャンルの業界団体があります。さらに特殊な食品(たとえばある種の加工食品)の業者の団体もある。

このほかたとえば、トラック業、タクシー業、保育園、船舶関係、観光業、不動産業、建設業、理髪店といった業界の団体。ある種の家庭用品、専門的な機械のような特殊な製品の業界団体。歴史のある産業や職業であれば、その数だけ団体がある。

ほかには、さまざまな資格・検定の運営団体。市などの地域の企業全般が加入する「商工会議所」や「商工会」といった経済団体(商工会のほうが比較的小さな企業・事業者が加入する)。

ここに挙げたものの多くは、私が就活生に情報提供したことのある分野です。なかには私が訪問して、人事の方のお話を伺ったケースもあります。とにかく、これらはほんの一例にすぎません。

「自分の勉強・活動が役に立つ」感覚

こうした業界団体などの公益法人の仕事のやりがいは、「自分の勉強・活動が人や社会の役に立つ」のを実感しやすいということです。

業界団体は、会員である業界の人たちのために情報収集したり、行政や世の中に働きかけたりする組織です。そこでその職員は「会員のために役立てる」という意識で、専門性を磨いたり、さまざまな活動を重ねていくことが求められます。

実際、業界団体の職員は、会員の事業者の方たちからいろいろ頼りにされることがあるのです。

そして、団体の会員の人たちに貢献し、その分野の発展を後押しすることを通じて、社会に貢献するということになります(それができていない団体は、いつかは業界からの支持を失って衰退してしまう)。

自分の勉強や活動がお客様や会社の役に立ち、ひいては社会に貢献するというのは、一般企業でもあることですが、業界団体の仕事はそのような「人や社会への役立ち」を、とくに実感できるものだといえるでしょう。

基本的には狭き門

公益法人は、新卒求人を出していないことも多いですが、なかには出しているところがある。そして、募集人数は少ないのが一般的で、基本的に狭き門です。

とくに、有名で大きな団体はきわめて難関です。しかしそうではない、規模の小さな団体になると、ある程度難易度は下がります。

ここで「小規模な団体」というのは、組織全体で20~30人以下の、新卒採用をする組織としては相当に「小さい」といえるレベルを言っています。

業界団体などの公益法人では、50~60人以上の規模の組織はそれなりに大きなもので、数百人規模だと「大企業」的なレベルです。

そして、「小規模」な業界団体による新卒求人の募集人数は、たいてい1~2人ですが、そこに何十人もの応募があるのが普通です。やはりかなりの難関です。

必ずしも安定性は高くない

また、「公益法人」といっても、公務員のような安定性があるわけではありません。有名で大きな団体は、一般に大企業並みの安定性がありますが、多くの公益法人は中小企業レベルの安定性です。

そのなかで比較的安定しているところもある一方、かなり経営が厳しいところもある。この点は注意が必要です。

このほか、公益的な要素のある一般企業以外の事務職として、つぎの選択肢も考えられます。すべては網羅していませんが、その代表的なものです。これらについては別の記事で述べます。

・病院やクリニック(健診機関含む)の事務職
・健康保険組合の職員
・学校(高校・専門学校・大学等)の職員
・士業(法律・会計・特許などの事務所)の事務職

おもな公益法人・業界団体を見わたせる本

「どのような公益法人・業界団体が世の中にあるか」を見わたすのは、インターネットではかなりむずかしいですが、各年版が出ている『マスコミ電話帳』(宣伝会議)の「団体・協会」の項などが一定の参考になります。

この本にあるのは、マスコミなどが取材対象とするメジャーな団体が中心で、世の中の公益法人のほんの一部です。また、それらの組織が新卒の求人募集をしていないことも多い。しかし、基本的なイメージをつかむ「入口」として役立ちます。

ある程度大きな書店には(図書館にも)おいてあることが多いので、関心のある方は手にとってみるといいでしょう。

 

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この記事の「中小企業」には、中小の「公益法人」も含みます。