親と教師のそういち就活研究所

親・先生などの、若者の近くにいる大人のための就活講座のブログです。でも就活生にも役立つかと。

会社説明会の情報術・その場で「思ったこと」を書くのは大事

企業説明会へどんどん行こう

新卒の就職活動では、合同や単独の会社説明会(企業説明会)には、どんどん行きましょう。できればオンラインではない、リアルな集まりのほうへ。やはりそのほうが、はるかに豊富な情報に接することができます。

私は新卒の就活にかかわる組織に所属し、さまざまな合同説明会や会社説明会の運営にかかわったり、見学したりしてきました。またカウンセラーとして就活生の方から説明会についての報告や相談も受けてきました。

そこから私なりに「会社説明会という場で、何に気をつけたらよいか」を述べます。

会社説明会は、企業についての情報を得る場所です。だからここでは、「情報収集の場として何が大事か」という「情報術」的なことを述べます。

 そもそも説明会ではメモを取ろう

まず、就活生の方に強調したいのが「会社説明会ではちゃんとメモをとろう」ということです。

「そんなのあたり前じゃないの?」と思うかもしれません。しかし、じつはかなりの就活生は会社説明会でほとんどメモをとっていません。ただ聞いているだけです。

会社が説明会で参加者に渡す資料は、ほとんどの場合、キーワードや骨格が書いてあるだけです。伝えたいことを一から丁寧に書いてあるということはありません。

そうでないと資料をつくるほうも読むほうも煩雑です。また、企業の側は資料に書いたことには責任があるので、あまり明確に書きたくないということもあります。

だから説明会に参加したなら、会社の人が資料を補って説明していることの要点をしっかりメモしておくことです。

メモは資料に書き込んでもいいし、ノートに書いてもいい。それで「そのメモと資料をみれば、説明会の概要を再現できる」ことをめざすのです。

メモをとっていないと、説明会で聞いたことのほとんどは忘れてしまいます。

就活生の方から説明会の話を資料をみながら聞いて、私から疑問点を投げかけても、答えられないことは多いです。「たしか会社は話していたと思うけど…」という内容も、忘れてしまっていることがあるのです。

自分たちの話を覚えていない人に会社は敏感

説明会の話を覚えていない人は、応募書類の「志望動機」が弱いものになってしまう恐れがあります。

面接でも、会社側からみれば本気度の感じられない人になってしまいがちです。たとえば「会社に聞きたいことは?」という面接の「逆質問」で、すでに会社が説明したことを質問してしまったりするのです。

就活生が「説明会をふまえて発言しているかどうか」に、会社の人事の人たちは敏感です。

人事では説明会に相当なエネルギーを注いでいます。だから説明会で「自分たちの話が届いているかどうか」は気になります。自分たちの話を聞いていない・覚えてない人は、評価が下がってしまうのです。

メモを取りながらマナーも気をつける 

もちろん、下を向いてメモをとるばかりではなく、会社の人をしっかりみて反応することも大事です。それはマナーの一種です。マナーの悪い人は、やはり採用されにくいでしょう。

だから、「適宜メモをとりながら、説明する人もしっかりとみる」ことです。メモを取りながらマナーも気をつけるのです。

これを現場で何度も行って、さじ加減を身につけるしかない。

学校の授業(とくに大学)では、ずっと下を向いてノートをとっていてもいいのでしょうが、会社説明会はちがいます。

また、授業では先生は学生がノートを取りやすいペースで話していますが、説明会はたいていそうではない。そこにも慣れる必要があります。

それで身につけたメモのスキルは、社会人になっても打ち合わせなどでおおいに使えます。

「自分が思ったこと」をメモするのは大事

メモに関して、もうひとつ強調したいことがあります。こちらはやや上級編です。

それは「説明会で話を聞いていて、自分が思ったこと・感じたことをすかさず書く」ということです。

もちろん会社の人が話すことはメモするのですが、それだけではなく、自分が思ったことも書く。

会場に着いたら、その場所の印象や会社の人の雰囲気について書いてもいい。話のなかに興味をひくことがあれば、話じたいをメモするのはほどほどにしてでも、自分の感じたことを書く。

ただし時間がないので、それはきちんと書けなくてもいい。資料の項目のところに「いいね」「すごい」「おもしろい」「がっかり」「今ひとつ」「よくわからん」みたいなワンフレーズを書くだけでも、とりあえずはいいです。

あとで説明会のなかで少しでも時間をみつけて、メモを肉付けすればいいでしょう。

たとえば「〇〇〇(その事項の見出し)→そんなに手間をかけているなんてすごい」「△△△→こういう〇〇な雰囲気の会社で、それは意外でおもしろい」みたいに、少し肉付けする。これをもとに説明会のあとで、さらにきちんとノートに書く。

会社側の話だけでなく、質疑応答でのほかの参加者の発言でも、「ほう」と思うことがあれば自分の感想とともに書いておく。

問われるのは「自分の考え」

「自分の考えを書く」ことが大事なのは、応募書類や面接で問われるのは、結局のところ「自分の考え」だからです。

就活生が「自社をどうみているのか」を、会社はいろいろなかたちで問いかけてきます。「志望動機」はそのメインです。

「自分の考え」ばかりが問われる選考は、学生時代にはあまり経験がないことです。学生時代は、授業やテキストの内容を覚えてアウトプットするのが、とにかく大事でした。

しかし、採用選考はちがいます。説明会や資料はふまえる必要がありますが、そのうえで「自分はどう考えるか」を述べる場所です。

ここが、かなりの就活生にとって不慣れなところです。

説明会でしっかりノートをとった方でも、会社の事業や沿革についてだけで(それはそれでいいのですが)、自分の考え・感想は書いていないことがほとんどです。

「自分の考え」だから、書かなくても覚えていられると思うのはまちがいです。少し前の自分は、ほとんど他人です。説明の会場を出ると、新たな刺激や情報に触れるので、会場で感じたことは遠い過去になっていくのです。

そうなる前に、記憶の手がかりになるワンフレーズだけでも書きとめておくことが必要です。

「自分にとっての意味」を考えながらくり返す

以上、メモの重要性について述べましたが、世の中にはメモなどしなくても、いろいろと覚えていて、必要なときに自分の語りに取り入れて話せる人もいます。

そういう人は就職活動では勝ち残っていきます。だからといって、特別なセンスのある人を「メモしない」というかたちだけ真似するのはやめましょう。

メモしなくても聞いたことを再現できる人は、頭のなかでその件について「自分にとっての意味」を考えながら何度もくり返しています。「あの話は面白かった、自分にとってこうだから興味がわいた…」などと頻繁に考えているのです。

だから、多数派の私たちは「自分にとっての意味を考えながら、くり返し思い出す」という本質なところを真似することです。そしてメモは、思い出すのにふつうは欠かせない道具なのです。

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「会社説明会の情報術」の核心は、じつはメモ術です(ほかにもありますが、それは別の記事で)。

メモをしっかりとることが基本中の基本です。

そして「自分の思ったことを書く」という、就活生が忘れがちな大事なコツがあるということ。

さらに「どういう問いかけ・問題意識で会社の話を聞くか」をより具体的に考える必要もありますが、これは別の記事で。とりあえず、「問いかけ」でまず大事なのは「自分にとっての意味」「自分の考えはどうか」を意識することです。