親と教師のそういち就活研究所

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面接が苦手な人は、まずは暗記から・流ちょうに話すことをめざさない

まずはエントリーシートを暗記する

面接に不慣れな就活生の方に、私は「まずエントリーシート(自己紹介書)に書いた自己PRや志望動機を暗記しましょう」とアドバイスします。

その前提として「エントリーシートをしっかり書く」ということもありますが、それについては別の記事で。

「暗記しましょう」というと、「それでいいのですか?」と言う人は少なくありません。「暗記ではいけない」「エントリーシートをそのまま話すのはNG」といったアドバイスを聞いたことがあるというのです。つまり「自分の言葉で話さなくてはいけない」と。

でも、多くの人は自分の言葉で話そうにも、面接で話すための言葉や表現がほとんど頭のなかに入っていません。アドリブでいろんな言葉が出てくる人はまれです。

言葉や表現を頭に入れることが必要

だから、あらかじめ面接で伝えたいことに関するさまざまな言葉や表現を用意して、それを頭のなかに入れておいて、必要に応じて出せるようにしておくことです。

そのためには一定の想定問答を考えておく必要もありますが、まずはエントリーシートに書いたことを、すらすらと再現できるようにする。それが第一歩です。エントリーシートには自分が伝えたいことのエッセンスが書いてあります。そこにある言葉を頭に入れておくことです。

自分のエントリーシートを再現できない人が、「自分の言葉」で話すことなどまずできないでしょう。

面接練習で「エントリーシートの通り話してみてください」と言っても、できない人は多いです。せっかくある程度組み立てた内容をエントリーシートに書いたのに、それを忘れてしまっている。アドリブで話そうとすると、崩れたわかにりくい話になってしまう。

何十回も音読をくり返す

エントリーシートに書いたことを覚えるには、何度も何度も音読するのがいいです。何十回か読めば、相当覚えます。

そして何十回かくり返し練習すると「暗記」ではなく、自分の言葉で話している感じになります。

「とことんくり返す」ことは、話す練習では非常に大事です。

自然な感じで上手に話す人は、くり返し練習しているのです。あまり練習していない様子でも、話す内容について、移動中やくつろいでいるときにも頭のなかでくり返しています。

私もセミナーや講演で話すとき、長いときは数時間であっても、いろんな言葉が出てきて話すことができます。それは、講演内容が自分の本などで書いたことをもとにしているからです。つまり、本を書くためにそのことについてくり返し考え続け、何十回も原稿を推敲してきたから話せるのです。話すのが上手いからではありません。

イメージしながらくり返して「自分の言葉」にする

そこで、大事なのはただくり返すのではなく、「考えながらくり返す」ことだとも言えるでしょう。

「考える」というのは、話の内容があらわす場面や出来事を自分のなかでイメージすることです。文字を追うだけではなく、イメージしようと努めること。話し手の頭の中にイメージがないのに、聞く側にイメージが伝わるはずはありません。

「イメージしながらくり返す」ことを重ねると、「暗記」は「自分の言葉」になっていきます。

「自分の言葉」で話す感じがあれば、それがエントリーシートの内容と同じでも、企業の人は前向きに聞いてくれます。

先端的な企業のみごとなプレゼンをする人たちを、ネットでみたことがあるかもしれません。あの人たちは自然に話している様子ですが、あらかじめ厳格に決まった内容を徹底的に自分のものにしたうえで話しているのです(その筋の人脈や知識のある友人が述べていた)。そのために事前にくり返し練習しているのでしょう。スティーブ・ジョブズもそうだったと伝えられている。

面接が苦手という人は、だまされたと思って、エントリーシートに書いたことをくり返し音読することから始めてみてください。それだけでは足りないかもしれませんが、まずはそれからです。

「流ちょうに話す」ことをめざさない

ただし、めざすのは「自分のものにして話す」ことであって「流ちょうに話す」ことではないです。

すらすらと、流ちょうに・きれいに話すことは、面接では重要ではありません。それをやり過ぎると、かえって「自分の言葉で話していない」印象になります。少なくとも素人がやると、そうなる。

面接はパフォーマンスのお披露目ではなく、人との対話です。その対話で相手に自分を伝えようとすることです。つっかえても、なめらかでなくても、声が通らないほうでも、それはたいしたことではありません。大事なのは伝える意志をもって話すことです。

そして、話すときに「伝える意志」がこもるようになるには、まずは話すことを暗記して、それをくり返して自分にしみ込ませることです。それによって、「話すのが苦手」という人も、かなり話せるようになります。

 

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