親と教師のそういち就活研究所

親・先生などの、若者の近くにいる大人のための就活講座のブログです。でも就活生にも役立つかと。

「企業が求める人材」を真に受けない

経済界が求めるのは都合のいいスーパーマン

財界の団体や経済産業省が述べる「求められる人材像」は、創造性や知性や協調性や向上心にあふれる、さらにはストレスやプレッシャーにも強い、企業にとっていかにも都合のいいスーパーマンです。

これを基準にするのは、やはり無理があるでしょう。

しかし、かなりの企業が述べる「求められる人材像」は、この手のスーパーマンを多少ゆるくしたり、いくらかニュアンスを変えたりしたものです。

「元気で明るい」は貴重

もちろん、スーパーマンなど求めていないという企業はあります。たとえば私は何社もの中小企業の人事の方から「うちはそれほど優秀な人を求めているわけではない」と言われました。

ではどんな人材なのか聞くと、「勉強はできなくていいから、元気で明るい、素直な人がいい」とのことでした。

そう言われるたびに私は「元気で明るいというのは貴重なことで、その資質を明確に備えた人は多くはないのに……」と内心思ったものです。そして「元気で明るいキャラではないけど、おとなしい感じのまじめな人ならいるのに」とも思ったのでした。

企業側も「求める人材」をうまく表現できない

企業の方たちはふつうは表現の専門家ではないので、自分たちの「求める人材」について的確に説明できるとはかぎりません。

そのためか、企業のいう「求める人材」は、多くの場合似ています。たいていは「スーパーマン」系か、「元気で明るく素直」か。自分たちの願いを、型どおりの表現で述べることになってしまう。表現・説明というのはむずかしいので、それも仕方のないことです。

ただし、企業によっては詳しく話を伺うと、たしかにその会社らしい、あるいはその業界や職種にふさわしい適性について聴けることがあるのも事実です。この情報は、学生と企業のマッチングなどでおおいに参考になります。

「企業が求める人材」よりも「社会でやっていける人材」

結局、企業側のいう「求める人材像」については、真剣に受けとめすぎないほうが賢明です。

たとえば自己PRの文章を書くときに、「課題発見力」「働きかける力」「発信力」のような「企業が求める人材像」的な能力が自分にはある、などと無理に書くのはやめたほうがいいわけす。

実際にそのような能力・資質がたしかに備わっていて、自然に説明できるなら別ですが、無理に書いてはいけません。薄っぺらく、わざとらしくなってしまいます。

私たちはまず「企業が求める人材」ではなく、「この社会でしっかりとやっていける・生きていける人材とはどういうものか」を考えるべきではないでしょうか。

自分の眼で社会のあり方をしっかりとみつめ、自分の頭でどうすればいいかを考えるのです。このことについては、また別に論じたいと思います。