親と教師のそういち就活研究所

親・先生などの、若者の近くにいる大人のための就活講座のブログです。でも就活生にも役立つかと。

「責任感のあるまじめさ」は、最も大事な資質

「まじめさ」は免罪符ではない

これからの社会では「責任感のあるまじめさ」は、ますます必要な、価値のある資質になっていくでしょう。

これは「組織に守られるための免罪符」としてのまじめさではありません。仕事の現場で貢献するためのまじめさです。現場の問題に真剣に向き合い、それを解決しようとする姿勢といってもいい。

組織に余裕があった右肩上がりの時代には、言われたことをこなし、ルールを守っていれば組織は評価してくれました。成果があがらなくても「決められた通りやっていたのだから」という言い訳が通りました。

しかし、これからはますます組織に余裕がなくなり、本当の成果や貢献を各人に求める傾向が強くなります。また、仕事がさらに複雑・高度になって、本気で取り組まないとやり切れなくなる。

そうなると「免罪符としてのまじめさ」は通用しなくなります。そこで「責任感を持って、現場の問題に対処する」「コンスタントに着実に取り組む」などの、本当のまじめさが重要になるのです。

優秀な看護師のような資質

セオドア・コーエンという経済学者は、現代の社会や労働の変化を論じた著書のなかで、その「まじめさ」のイメージをつぎのように述べています。 

《労働市場で真面目さがとくに重んじられる業種が二つある。医療と個人向けサービスだ。医療の現場では医師以外のスタッフが大勢働いているが、そういう人たちは、きちんと手を洗い、カルテに正確に記載し、検査の数値を正しく読み取ってくれないと困る。要するに真面目でなくてはならない》(『大格差』NTT出版) 

これは、いわば「優秀な看護師のようなまじめさ」です。きびしい医療の現場でも、そのまじめさが崩れない。「信頼できる人」「あてにできる人」の資質といってもいい。

このような資質は、昔から大切だとされてきましたが、これからは一層価値を増すことでしょう。

夢中で取り組んだ経験が基礎になる

では、それをどうやって子どもや若者は身につけるのか? 

管理や締めつけでは無理でしょう。少なくともそればかりだと、締めつけから逃れる逃げ道ばかりを考えるようになってしまうかもしれません。

本当のまじめさは、意欲や志に支えられているのではないでしょうか。

そこで基礎になるのは、自分にとって心から夢中になれること・ぜひ実現したいことに取り組んだ経験ではないかと思います。

そして、その「夢中になれること」に取り組むなかで、突き当たる問題をひとつひとつクリアした経験が「責任感のあるまじめさ」を育てるには欠かせないのではないか。

これは、むずかしいことかもしれません。

それでも私たちの周囲では、部活動、アルバイト、ボランティアなどで「責任感のあるまじめさ」を発揮している子どもや若者をみかけます。

頼まれもしないのに、自分たちの活動や業務を改善したり、自分よりも未熟なメンバーに親切に教えたりしている。それを熱心に、継続して行っている。

自分の「まじめさ」に光をあてよう

私は学生さんの自己PRなどに関して、そのような活動に光をあてるためのアドバイスをしばしば行ってきました。

それで学生さんの「まじめさ」を浮かび上がらせたい、学生さんに自分の良いところを自覚してもらいたいということです。

学生さんに突っ込んで聞いてみると、活動にまじめに取り組んだ人ほど、具体的にいろんな話をしてくれます。

そこで私と話したことは、企業の面接で話す下準備となります。ときには私に話したことをその場でメモするように学生さんにうながします。しばらくするとたいてい忘れてしまいますから。

自分の「責任感のあるまじめさ」を、具体的な活動の様子から伝えることができれば、そのような学生を企業は見逃しません。

このような「まじめさ」の重要性については、それこそまじめに仕事に取り組む企業であれば、(表現は多少ちがっても)よくわかっています。「あまりに当然」といえるほど重要なので、たとえ言語化されていなくても、腹の底でわかっているのです。