親と教師のそういち就活研究所

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BtoBに目を向ける・「菓子・おもちゃ・文具」ばかり見ない

「菓子・おもちゃ・文具」に集まる

就活シーズンが本格化する始めの頃、学生さんたちの志望企業の傾向は、わかりやすいです。つまり、一般消費者向けの商品やサービスを製造・販売し、CMでよく目にする会社に人気が集まる傾向がはっきりとあります。あとは、ステイタスの高い超有名企業。

「一般消費者向け」をさらに具体的にいえば、食品、ゲーム・おもちゃ、文房具や生活雑貨をつくる企業です。化粧品メーカーもこれに近い。食品業界では、お菓子メーカーはとくに人気があります。

お菓子・おもちゃ・文房具のメーカーが就職先としてまず浮かんでくるというのは、失礼な言い方になりますが、子どもの発想です。「大きくなったらケーキ屋さんになりたい」という小さい子どもが多くいるのと、本質は同じです。

文具や生活雑貨の会社を志望する学生さんに、関連領域として家具・インテリアの製造・販売の会社について情報提供したところ、「実家暮らしで家具はあまり買ったことがないので、イメージや興味がわかない」と言われたことがあります。

学生さんは、つい数年前まで子どもだった自分の生活体験でイメージしやすい企業を選ぶ傾向がある。

こうした「子どもの発想」から抜け出すことは、就活の大事なポイントです。

「就活のレッドオーシャン」を避ける 

菓子・玩具・文具のメーカーにはたしかに優れた経営・業績の会社があり、仕事のやりがいや面白さもきっとあるでしょう。

しかし、多くの学生さんが応募するので、いわゆる就活偏差値が非常に高いです。つまり、入社が難しい。

そして会社の規模・収益・待遇面などでみると、アンバランスに就活偏差値が高い傾向があると、私には思えます。

たとえば、スーパーやコンビニでよくみかけるお菓子をつくっている会社のなかには、決して大きくはない「中堅企業」の会社がありますが、そういう会社が人気の大企業みたいな競争倍率になっていたりする。

経営論の用語で、競合がひしめき合う激しい競争がある市場を「レッドオーシャン」などといいますが、学生さんがイメージしやすい消費者向けビジネスの有名企業は、就活のレッドオーシャンです。「菓子・おもちゃ・文具」の世界は、就活のレッドオーシャンの象徴です。

その世界の仕事にほんとうに強い関心があるなら、いいのです。しかし、ぼんやりと「生活に身近なものが、イメージしやすくていいかな」くらいの感じで、わざわざレッドオーシャンでの競争に身をさらすことは、避けたほうがいい。時間や労力の無駄になる恐れが高いです。

「BtoB」がブルーオーシャンというわけではないが

就活の企業選択で「子どもの発想から抜け出す」とは、「BtoB」に目を向けることです。つまり、一般消費者向けではない、企業向けのビジネスを行う企業に注目する。

ただしBtoBが、就活におけるブルーオーシャン、つまり競合の少ない新しい市場であるとまではいえません。BtoBのなかで、その分野で一流とされる優良企業への入社は、やはりそれなりの競争倍率になります。

しかし、「菓子・玩具・文具」の世界のような、大人目線では異様なレッドオーシャンにはなっていません。

そして、世の中のある程度発展した企業によるビジネスの中心はBtoBです。つまり、学生さんが知っている一般消費者向け企業よりも、はるかに分厚く多くの企業が存在している。

そのことは、社会経験のある大人ならわかっていますが、かなりの学生さんにはイメージできていません。

「生活に身近なもの」への志向が強くなった

「BtoBに注目しよう」というのは、就活のアドバイスではよく言われることですが、私はとくに強調したいです。

「菓子・おもちゃ・文具」に象徴される世界、つまり学生さんがよく「生活に身近なもの」と言う世界に応募者が集まる傾向は、今の親御さんが若い頃にもありましたが、今はさらに強くなっています。

これにはおそらく、高度成長期的な「重厚長大型の産業をとくに重視する価値観」が後退し、多様な楽しみを追求することが一層さかんになったことなどが関係しているのでしょう。

だから、「BtoBに注目しよう」と強調することは、やはり意味があります。

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学生さんがBtoBに関心を持つにはどうしたらいいでしょうか? それにはBtoB企業の具体例を知ることです。

つぎの2つの方向性が、学生さんにはイメージしやすいようです。

ひとつの典型は、高い技術力などで、きわめて専門的な市場で優位に立つ製品をつくっているメーカー。もうひとつは、さまざまな分野の専門商社です。これらの業界や具体的企業について知ることが参考になるでしょう。これはまた別の記事で。

 

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