親と教師のそういち就活研究所

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自己分析→自己PRで行うべき、たったひとつのこと

その場での「自分の貢献」「努力・工夫」を書く

エントリーシートの自己PRは(学生時代に力を入れたこと=ガクチカも)「自分の特徴・強みは何か」「それをあらわすエピソード」を中心に成り立っています。

そしてエピソードについてたとえば、ゼミやアルバイトのことを書こうと決めたとする。

その先で一番大事なのは、テーマが学業であれ、部活やサークルであれ、アルバイトあれ、その活動の場における自分の貢献と、そのために行った努力や工夫に焦点をあてて書くことです。

その場での「自分の貢献」と「努力・工夫」を書く。これが「自己分析→自己PR」の作業で行うべき、たったひとつのことといってもいいです。

そしてこのような「貢献」「努力・工夫」のなかにこそ、それぞれの学生さんが企業で生かしうる特徴や強みがあらわれています。

「貢献」とは他者への役立ち

「貢献」とは何でしょうか? 「その場にいる人たちの目的の達成に役立つこと」です。「他者への役立ち」といってもいい。

人が集まる場には、それぞれ「目的」があります。

・大学のゼミなら、学生の知識や思考力などを大学生にふさわしく向上させる。
・部活なら、試合での勝利やそのほかの栄誉、部員のスキル・人格の向上。
・店舗でのアルバイトなら、売上・利益や顧客満足。
・学習塾なら、生徒の学力や意欲を伸ばし、塾の評価を上げる。
・ボランティアなら、その活動でサービスを受け取る人の満足や笑顔。

そしてこういう目的があるからこそ、貢献という概念が成立します。

自己PRではこの「貢献」を軸に書くことです。そして「貢献のために何をしたのか」が「努力・工夫」です。

企業は貢献が求められる場所

なぜそんなに「貢献」というのか? それはもちろん、企業というものが社員に「目的への貢献」を強く求める場だからです。

製品やサービスの生産・販売を適切に行い、利益をあげることが企業の目的です。そのことはきわめて明確です。

だから企業は「目的に貢献するときの、その学生の特徴・強み」を知りたいのです。自社に貢献できる人材を採りたいのだから当然です。

そこで、それとは関係のない情報をエントリーシートに書いてもあまり意味がありません。少なくとも「話の本筋ではない」ということです。

「貢献」の要素が薄いことは書かない

以上はあたり前にも思えますが、そこがあいまいな学生さんもたまに見受けられます。

たとえば、語学や資格取得の勉強で頑張ったこと、趣味をきわめたこと、海外の珍しい土地を旅行したことなどを自己PRの柱として書く学生さんがいます。

しかし、その資格や語学、趣味や旅行がどれだけすごいことであっても、多くの場合「貢献」「他者への役立ち」の要素が薄いです。そこで、自己PRの素材には向きません。

その学生さんのTOEICのスコアがどれだけ上がっても、それは個人的な学習成果です。それ自体がほかの誰かの役に立つことは、ふつうはないわけです。

もちろん語学の勉強そのものは、おおいに意義のあることです。資格取得も、語学ほどではありませんが、内容によっては就活において意味はあります(就活と資格勉強についてはまた別の機会に)。

しかし、そのことは自己PRに書くのではなく、「資格」の欄にさらっと書けばいいのです。

資格の欄にTOEICのハイスコアや難関資格が書かれてあれば、その人が勤勉な努力家で知力に優れていることは伝わります。

ただし、個人的な勉学や趣味の活動、旅行による海外での体験も、そこになんらかの「貢献」「他者への役立ち」という要素があるなら、自己PRの素材になり得ます。

たとえば身につけた英語力による活動で何らかの「他者への貢献」を果たした、ということがあるかもしれません。そういう方向で深堀りしていくことも意味があります。

しかし、勉強や趣味といった素材では、「貢献」の要素を欠いた内容になっていることがやはり多いです。

ささやかな取り組みでいい

ただ「他者へのあなたの貢献は?」などというと、固く考えてしまう人もいるでしょう。謙虚な人は「それほどのことはないかな…」と思ってしまう。

だから、問いかけとしては

「その場を少しでも良くしていこうと、何か頑張ったことはありますか?」
「お客さんやお店のためにプラスアルファで何か工夫や努力をしたことは?」

など、ふわっとした質問のほうが、回答を引き出せます。

そして「それは、ささやかなことでいいんですよ」とも伝える。するとかなりの学生さんが、自分の「貢献のための努力や工夫」を話してくれます。

「貢献・取り組み」の例

以下は、そんな「貢献・取り組み」の一例です。

・店舗のアルバイトで、売上貢献のために接客時の対話を工夫し、積極的に行った。
・単純作業の工程を改善して、所要時間や材料のロスを減らした。
・サークル活動で、初心者の部員を積極的に指導して、組織の底上げや一体化に貢献した。
・アルバイト先で丁寧な後輩指導をして、新人の定着率を上げた。
・部活で会計担当として経費の見直しを行い、財務状況を改善した。
・部活のニュースレターを定期発行して、部員のほか、関係者とのコミュニケーションを深めた。
・物販店で、陳列の工夫をして売上に貢献した。
・中高年が多いボランティア組織で、数少ない若者として活動力を生かして活躍した。
・ゼミ活動で、議論を活性化するためにメンバー間の情報共有に意識的に取り組んだ。

誰かに指示されたわけでもないのに、こういうプラスアルファの取り組みを自分の場所で行っている人は、結構いるものだなあと思います。

「貢献」を思いおこして自覚しよう

そのような、自分が行ってきた「貢献」を思いおこして自覚することが、「自己分析→自己PR」の最も重要なことだと、私は思います。

そして、「貢献のための取り組みには、その人らしさがよくあらわれている」と、学生さんと話していて思います。

たとえば「明るく積極的なこの人らしい」「おとなしそうだけど芯の強さが出ている」「この人らしい親切で温かい感じ」「たしかに地道で緻密な人だ」といったことを思うのです。

そして、こうした「その人らしさ」は企業にも伝えることができるはずです。

ただし、ここであげたような典型的な貢献だけが自己PRの素材だとはいいません。ほかにも自己PRのかたちはあるでしょう。

しかしまずは「自分の貢献と、そのための努力や工夫」について考えてみるべきだと思います。

 

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